お客様のご要望が、JCBにとっての宝となる
VOCを業務に活かすには(後編)
VOCを業務に活かすには(後編)
SCSKが提供するテキスト解析ツール「VOiC Finder」の導入により、VOC(Voice of Customer:顧客の声)の収集・分析、仮説検証の手間を大幅に削減した株式会社ジェーシービー。彼らは、コールセンター業務などでのVOCの分析で、どのような効果を得たいと考え、実際にどのような成果を上げたのだろう。またそこでは、テキスト解析ツールのどのような機能が役に立ったのだろう。前編に引き続き、コミュニケーション企画部のメンバーに話を伺い、導入の狙いと運用にあたっての工夫などを聞いた。

埋もれてしまいがちなVOCこそ価値がある

──VOiC Finder(ヴォイス ファインダー)の導入で、どのようなことが可能になりましたか。これまでと異なる点があれば教えてください。

ご不満やご意見については、以前から対応してきましたし、分析もしてきました。しかし、そこまではいかない「あればいいよね」といったお客様のご要望は埋もれてしまいがちでした。これは常々、もったいないと感じていた点です。そうした、埋もれていたご要望の声をある程度活用できるようになったことが、導入の大きな効果の一つでした。

──なぜ、VOiC Finderの導入によって、今まで埋もれていた声を活用できるようになったのでしょう。

データの収集と分析の手間が大幅に削減できたのが大きかったと思います。集計にかかる時間や負荷ゆえ、これまでは新サービスに関するお問い合わせや改善要望などを具体的な数字ベースでは担当部門に伝えられていませんでしたので。

「すぐ使える」には「辞書」と「辞書のカスタマイズ」が重要

──VOiC Finderを活用した直近の取り組みを教えてください。

最近ですと、「通話時間の短縮」に取り組みましたね。これは、ジェーシービーにとっては生産性の向上に、お客様にとってはシンプルで的確な案内につながるので、双方にメリットがあると考えたのです。具体的には、短時間で説明できる人と説明に時間がかかる人の会話を比較、分析しました。すると、通話時間が短い人は、シンプルかつ丁寧に要点だけを要領よく話している一方で、通話時間が長い人は、「恐れ入ります〜」などの「クッション言葉」や「〜の可能性があります」などの「あいまい語」をよく使っていました。クッション言葉やあいまい語が多いと、本質が伝わりにくく、お客様にもわかりにくいことが明確になりました。そこで、「通話時間の短縮」というテーマを「過剰なクッション言葉/あいまい語の削減」というコミュニケーションスキル改善活動につなげて、横展開することにしたのです。

──仮説の立案では、「辞書」と「辞書のカスタマイズ」が必要になり、その点でVOiC Finderが優れているという話がありました(前編参照)。詳しく教えてください。

VOCの活用では「困りごと」と「要望」に注目しています。そのためには「不便」「困る」や「ほしい」「したい」といったキーワードが入った文章を抽出します。そこで、テーマに応じてこうしたキーワードを辞書に登録するのですが、VOiC Finderは辞書登録支援機能が非常に優れていると思いました。VOiC Finderには、辞書登録のために「構文見本」と「エディタ機能」が用意されています。エディタ機能が問い合わせから辞書登録するキーワード候補を提示してくれるので、私たちはそこからキーワードを選択し、構文見本を見ながら微調整すれば、テーマに応じた辞書を作成できるのです。難しい構文の場合には、サポートも依頼できますが、ほとんどの場合、自分たちで登録可能です。

──エディタ機能で登録候補が提示されることによって、発見はありましたか。

辞書には、改善するテーマに応じて、お客様からのお問い合わせからだけでなく自社特有の用語も組み込みます。すると、自社あるいは業界で使っている用語とお客様がお問い合わせの際に使う用語が違うことに気付きました。例えば、カード会社では、カードの利用額を口座から引き落とすことを「振替」と呼びます。しかしお客様は「引き落とし」と呼ぶのです。言われてみれば当たり前ですが、エディタ機能がこうしたキーワードを拾ってくれるまで、気が付きませんでした。そこでお客様が自己解決のために利用されるFAQの質問文を、「振替」から「引き落とし」という言葉を使うように変更しました。

辞書登録の候補を提示してくれるので、辞書のカスタマイズが容易にできる

解析結果がサービス改善につながる

──コールセンターの業務改善以外で、VOiC Finderの活用事例があれば聞かせてください。

FAQサイトの改修に利用しましたね。FAQには、本当にお客様が聞きたいと思っている質問だけを絞り込んで掲載しています。しかし、過去の問い合わせをベースにした質問だけ見ていると、本来何を聞きたかったのかがわからなくなることがあります。例えば「家族カードの入会条件を教えてください」という質問には、すでにFAQで答えていました。過去の問い合わせが多かったからです。ただFAQを見ての解決率が低く、改善対象になったためVOCを分析してみたところ、9割以上が入会条件を知りたいのではなく、家族カードを「申し込みたい」人でした。その結果から、FAQの質問を「家族カードの申し込み方法を教えて下さい」に変更し、申し込みページへのリンクと諸条件の記載されたページへのリンクを貼り、改善を行いました。こうした気付きも、VOiC Finderの活用によって得られたものです。

──VOCの分析結果は、連携している担当部門とも共有しているのですか。彼らの反応はいかがでしょう。

まだ導入したばかりなので、担当部門にはその価値を十分に伝えきれていません。例えば、商品やサービスを改定する際、クレジットカード会社は通常、お客様にDMを送付します。私どもは、改定後の商品やサービスのさらなる改善につなげるため、お客様の声を担当部門に提供しています。こうしたデータの価値を各担当部門へ伝えていくためにも、今後は、VOC活用による業務改善活動の件数を増やしていきたいですね。

──今後、どの方面での活用を念頭に置いていますか。

コミュニケーターとお客様との会話や、Webや媒体などの改善に役立てたいですね。お客様と直接接する強みを生かして、改善要望の声を集めたいと思っています。また、具体的な数字を提示することにより、(改善のための開発予算を持っている)担当部門を動かしていきたいと思います。

株式会社ジェーシービーのコールセンターを支えるコミュニケーション本部 コミュニケーション企画部 支援推進グループ。左から、主務 阿部 香織 氏、副主担 澤田 ちひろ 氏、白峰 智大 氏、谷口 麻菜 氏。

 

コールセンターにおける顧客対応からFAQの改修、さらには「あればいいよね」などの顧客の要望に基づく改善まで、様々な用途で活用されているVOiC Finder。困りごと辞書や要望辞書、辞書登録支援などがVOCの活用による業務改善につながることは間違いなさそうだ。

JCBはどのように、VOCを業務改善につなげたのか|VOCを業務に活かすには(前編)

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