迫る2025年。SAP S/4HANA導入までにまずやるべきはロードマップとPoC
「SAP S/4HANA」は安定しているのか──。数年間、SAP S/4HANAの検証を進めてきたSCSKは「最新バージョンなら安心」と語る。SAP S/4HANAを利用することで今後のビジネス革新に対応できる可能性は広がる。SAP S/4HANAの導入やコンバージョンに向けたロードマップづくりとPoC(Proof of Concept:概念実証)を始めるタイミングはすでに訪れているのだ。

最新バージョンで安定性を増した「SAP S/4HANA」。不安は過去の話に

「『SAP ERP』は2025年に保守サポートが終了します。そのため、企業の情報システム部門の担当者の間で、『SAP S/4HANA』へのコンバージョンの関心が高まり、今年に入り具体的なご相談が増えてきました。お客様は2025年までにどういったロードマップで、何から始めるべきか迷われています」。そう語るのは、SCSKソリューション事業部門 AMO第二事業本部 ソリューション第三部 第二課長の増田敬志だ。

SAP ERPは各国の法律や税制に対応していることから、特にグローバルに事業展開する企業からのSAPへの評価は高い。

SAP S/4HANAは、データベースの処理スピードが速く、最適化されたアプリケーションが増えている。また、オンプレミスだけではなく、クラウドサービスとして利用する選択肢もあり、将来、基幹システムのクラウド化を進める際、その拡張性の高さが有用になるというメリットもある。

ERPを導入している企業の中には、業容を拡大していく中でERPのパフォーマンスが発揮できていない、あるいは機能面で対応できていないと感じている企業もあるだろう。その場合はSAP S/4HANAの高速でリアルタイムな処理が有用だろう。

一方で、SAP S/4HANAはまだ進化途中の製品と考えられてきたため、「ERPとして安定的に稼働するのか?」と不安視する声もあった。

「結論からいうと、最新バージョンである『SAP S/4HANA 1709』はERPとして安定しています」と増田は話す。その根拠として着目しているのが、旧バージョンからの変更点(差分)だ。

SCSKでは将来的なコンバージョン需要を見据え、バージョン1511(2015年1月リリース)から検証を重ねてきた。

「旧バージョンからの変更点を見ると、変更点数が大きく減っているとともに、変更内容についてもシステムのコアの部分に関しては安定化に寄与する修正程度にとどまるようになりました。このことから、コンバージョンを検討できる環境になったと考えています」(増田)

SAP S/4HANAは、これまで11カ月に1度のペースで最新版がリリースされてきた。次のバージョンは2018年8月のリリースになると考えられるが、その際の変更点も「コアの機能改善よりも、プラスアルファの機能を追加するための変更が中心になる」と増田は予想する。

2つのコンバージョン方法。早期着手のメリット

こうしたことから、SAP ERPからSAP S/4HANAへのコンバージョンを本格的に検討する時期を迎えているといえる。

コンバージョンの方法は2つ考えられる。1つは、SAP ERPからSAP S/4HANAに移行するシステムコンバージョンで、もう1つは新たにSAP S/4HANAをインストールした上で、既存のERPの必要な機能を移植する方法である。後者は、導入を機に業務改革を進める場合に適している。

また、コンバージョンに要するプロジェクト期間は、システムコンバージョンで約半年から、新規インストールの場合は業務改革の内容や方向性を共有し、移植する機能の検討などにかかる時間を含めて1年ほどになる。「しかし、それはあくまでも現段階での話です」と増田は指摘する。

「システムコンバージョンでは、SAP ERPのサポート終了期限が2025年であることを踏まえ、2021年くらいに検討を始め、2023年に稼働させようと計画していている企業が少なくありません。同様に新規インストールでも周囲の動向を見計らいながら2022年くらいから始めようと考える企業が多くあります。その結果、2025年が近づくにつれて一気にSAP S/4HANA導入の需要が高まるため、自社で計画した時期に思うような対応を受けられなくなる可能性があるのです」(増田)

順番を待っている間に2025年を過ぎてしまうことも考えられる。セキュリティの面からサポートが終了したERPを使うのは勧められない。

「いずれSAP S/4HANAを導入することを考えているならば、早く行動した方がいいでしょう。2019年くらいにプロジェクトをスタートし、2020年から2021年くらいまでには稼働させるようなロードマップを描いてみてはいかがでしょうか」と増田はアドバイスする。

まずはロードマップ作成を。「SAP S/4HANA」は検討から試行の段階へ

SAP ERPからSAP S/4HANAへのコンバージョンに向けた一歩目となる具体的な手段としてはPoCが有効だ。

「コンバージョンに関心はあるが予算がない」「大きなシステム変更なので一気にはできない」という企業は少なくない。ERPのコンバージョンはコスト負担が大きいが、PoCであればハードルは低くなる。実際に試し、使い勝手や効果を把握すれば、社内で上申する根拠にもなる。

PoCの検証の結果次第では、クラウドという選択もありうる。SaaS型のSAP S/4HANAならばバージョンアップなどの手間を省けるといったメリットもある。

PoCの効果を高めるためには、アドオンの分析や適合性の検証を細かく行うことが重要だ。例えば、SCSKにはSAP S/4HANAで適合性検査を簡単に始められるサービス「Add-Value PoCサービス」がある。また、PoCの中では、SCSKのグループ会社であるJIECの「JIEC Visualizer」を用いて現行のSAPシステムを調査分析することをSCSKは勧める。

「コンバージョンで大きな差が出るのはアドオンの分析です。ソースコードレベルで、ここをこう直しましょう、ここを削りましょうといった議論をしながら、より具体的なロードマップを作成することが大事です」(増田)

SAP S/4HANA向けのPoCサービスを提供するシステムインテグレータは少なくないが、ソースコードレベルまで掘り下げた具体的なロードマップを作成できることがSCSKの強みだ。SAP ERPで豊富な実績がある同社は、導入の際には業界に特化したテンプレートも用意している。

「繰り返しますが、SAP S/4HANAは安定したERPになりました。SAP S/4HANAを利用することで今後のビジネス革新に対応できる可能性は広がります。実際にコンバージョンするのが1~2年先だとしても、そのための準備としてロードマップづくりとPoCの実施は早々に着手した方がいいでしょう」と増田はアドバイスする。

SAP S/4HANAへのコンバージョンや新規導入を進める機は熟した。まずは相談してみてはいかがだろうか。

※JIEC Visualizer:SCSKグループであるJIECオリジナルのアップグレード分析ツール

Add-Value PoCサービスはこちらでご紹介しています。