イベントレポート:「頼られる 情シス」「消えていく情シス」
2018年2月8日、東京・秋葉原で@IT主催のイベント「『頼られる情シス』と『消えていく情シス』 〜1週間でどんなニーズにも応える方法〜」が開催された。情報システム部門の問題意識は非常に高く、100名の定員に対して申し込みは200名を超えて受付を終了。イベント当日は「求められ続ける情報システム部門のあり方」などのヒントを求めて早々に満席となった。

一歩踏み出そう。「情シス」が輝ける時代がやってきた!

基調講演「新・情報システム部論 〜どうすればよいのか〜」では、ハンズラボ 代表取締役社長 兼 東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長の長谷川秀樹氏が登壇し、自身の経験を基にして、これからの情報システム部門のありかたや経営者がなすべきことなどを語った。

長谷川氏は講演の冒頭でこう話す。「情報システム部門は売り上げに貢献する部署ではないので、褒められることはほとんどありません。それでも俺たちにできることをやっていこうという思いで前に進んできました」。実際、東急ハンズでは2009年ごろから「自社開発宣言」を提唱し、大幅なITコストの削減に成功した。

長谷川氏によれば、売上集計・在庫管理などの「伝票処理のIT」と、ロボットやAIスピーカーなどに代表される「SF映画のようなIT」と、世の中には2つのITがある。いま取り組むべきは、クラウドや新技術領域などのインターネットテクノロジーを活用した「SF的なIT」であると主張した。

さらに長谷川氏は、「売上に貢献しないこと」を原因として、ITに興味を持たない経営者が多いと指摘。ITに詳しくない経営者をサポートするため、インターネットテクノロジーがわかるCIOが必要であることにも言及した。

情報システム部門にも課題がある。長谷川氏は「自社でグリップできているか? インターネットテクノロジーをわかっているか? 社外に相談できる技術者などの友人がいるか? と問いたい」と語気を強めた。

また、社内にPoCを行うエンジニアリングの組織を持つことを挙げ、「まずは数人のエンジニアで、簡単なものでいいのでインターネットテクノロジーを活用したシステムを構築することから始めてみよう」と提案した。

ハンズラボ 代表取締役社長 兼 東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 長谷川秀樹氏

経営とITとの融合によって労働集約から知識集約への転換を

SCSK ソリューション事業部門 AMO第一事業本部長の古宮は、「夢ある未来を創る情シス部門」になるために、システムインテグレーターとしての自戒の念を込めて経営とITについて提言した。

古宮は「既存資産があるがゆえ、ITの革新を遅らせている」「ビジネス変革を、時間を費やすITが阻害している」「そもそもITは、コストが掛かり過ぎる」など、ITに対する利用者の不満は20年以上変わっていないと語る。

「クラウドやAIなどの新技術領域を活用し、経営とITを融合することによって企業ITを根本から変えること。『労働集約』から『知識集約』に変革することが重要です。SCSKは、多様なお客様の課題に向き合ってきた長年の知見で、情シス部門の変革をサポートします」(古宮)

変革の手段として、システムインテグレーターとしての経験とノウハウを詰め込み「作らない開発」を実現する「FastAPP」を紹介した。プログラミングレス開発を実現しているだけでなく、基幹システムとの連携やハイブリッドでスクラッチ開発との共存も可能な柔軟な開発基盤となっている。

「私たちが目指すのは、お客様のビジネスに貢献し、ITによる変革を継続することです。FastAPPは、企業のスピード経営に対するニーズへ応えるために開発された、超高速開発のためのクラウドプラットフォームなのです。価値実現の期間短縮を目指して、マーケットプレイスなどのサービスにも注力していきます」(古宮)

SCSK ソリューション事業部門 AMO第一事業本部長 古宮浩行

業務アプリの内製化で工期が3分の1以下に。コストの大幅削減にも成功!

三井不動産リアルティ ITマネジメント部 システムソリューショングループ グループ長の喜納秀行氏は、「業務アプリケーションの内製化に求められる最適な開発基盤、推進体制とは?」と題した講演を行った。

同社は内製化を進めてきた企業。かつては属人化が進み、重複やムダが多く、思わぬトラブルに見舞われることもあった。コンプライアンスやIT統制にも懸念があったという。

「エンドユーザー部門が、ExcelマクロやACCESSで独自に作ったツール、独自に導入したASPなど、大小合わせて300を超えるエンドユーザーコンピューティングが乱立していました」と喜納氏は明かす。また、システムインテグレーターに業務を丸投げすることで、自社の情報システム部門が何もできなくなってしまうという危機感もあったという。こうした課題を解決するために、統合基盤の導入による内製強化を図ったのだ。

「内製強化はどこからはじめるべきかと問われたら、柔軟性・迅速性が求められるところと答えます。つまり、システムインテグレーターに任せっきりでは対応しきれない分野です。例えば新しいサービスは、作っては見せ、作っては見せという作業が必要です。環境の変化が激しく、仕様がころころ変わるサービスにも有効です」(喜納氏)

三井不動産リアルティ ITマネジメント部 システムソリューショングループ グループ長 喜納秀行氏

内製強化を図るための超高速開発基盤として、三井不動産リアルティはさまざまなツールを比較検討した結果、SCSKの「FastAPP」を選択した。

「決め手は2つありました。データベースの自由度が高いことと、実行エンジン型であることです。また、開発機能が豊富で、操作が簡単。メンテナンスも容易で保守サービスも充実しており、アプリケーションごとにドキュメントを作れる点にも惹かれました。私たちにとって、データベースの自由度は重要で、基幹システムと連携したり、チューニングしたりできるのが魅力でした」(喜納氏)

喜納氏は、FastAPPによる開発推進にあたって、まず少数精鋭の開発体制を整え、属人化や複雑化を回避するための開発ルール(掟)を制定した。カスタマイズせず、APIは基幹システム側で作るというものだ。

すでに同社では、お客様のお取引を三井のリハウスがあらゆる角度からサポートする「360°サポート」をはじめ、アプリケーション14種類(349機能)で約3,000人の利用者がFastAPPで構築したサービスを利用している。外注した場合に比べて、工期は3分の1以下に短縮でき、コストも大幅に削減できるようになったとのことだ。

「当社では、内製化すべきものとシステムインテグレーターに任せるべきものをしっかりと分離した上で、アプリケーションの開発はITマネジメント部が統括することに成功しました。エンドユーザー部門には作らせず、その代わりにすぐに作って、早く提供することが重要なのです。口コミで評価が広がり、システム化の相談や依頼が急増しています」(喜納氏)

喜納氏は今後もFastAPPのポテンシャルを最大化して、「頼られる情シス、強い情シス」を目指したいとまとめた。

「頼られる情シス」になるための最初の一歩を踏み出そう!

イベントの最後には、長谷川氏、喜納氏、古宮が登壇。@IT編集長を務める内野宏信氏がファシリテーターを務めて、来場者から4つの質問に答える形のパネルディスカッションが開催され、次のようなやり取りが交わされた。

──業務部門のニーズが把握できない

東急ハンズの長谷川氏は、もともと店舗で働いて現場の業務やニーズをよく知っているスタッフをIT部門に編入させ、根本的な解決を図ったそうだ。同氏は「部門長(私のことですが)が“断る勇気”を持つことも重要」とも指摘する。三井不動産リアルティの喜納氏は、「業務部門の心をつかもうとしてもダメ。課題を1つ1つ解決して、少しだけクレームが減ればよいという考え方も重要です」と述べた。

──情報システム部門の存在意義は?

喜納氏は「スモールスタートで始めて、見えるモノ、動くモノを見せること」が重要だと語った。モノがないと、議論が“空中戦”になって収束しないというのだ。SCSKの古宮は「要は現場のニーズとITのバランスを取って、経営の方向性に合致した“いいあんばい”なITロードマップを発信し続けることが、情シスの意義」と指摘した。

──内製化すべきかどうかの切り分け方法は?

喜納氏は講演で述べた例を挙げ、「仕様が決めにくいもの」を優先すべきだと述べた。作ったあとに変えたり、要望を聞きながら変えたりということは、内製でないと実現できないためだ。一方、長谷川氏は「これまでになかったけどユーザーが欲しがっていたもの」を優先的に内製化し、あとは「保守・メンテナンスが高コストだったもの」や「古すぎるもの」などを内製で変革していったと述べている。

──どうすればモチベーションを高められるのでしょうか?

「モチベーションが低い。やらされ感がある」という悩みに対して、長谷川氏は「営業部門も総務部門も、どの部門だって同じ」と断言する。ただ部門長として、スタッフが伸びる環境は提供したいとも述べている。喜納氏も「責任感だけで働いている」と同意の意を述べつつ、「FastAPPの採用で依頼が増えました。無茶な仕様変更なども少ないように感じます」と内製強化の効果を評価している。

さまざまなユーザーのIT環境を経験してきた古宮は「勉強会などはいいですね。自発的な取り組みには積極的に若者を支援してあげてほしいです。組織崩壊を起こしているユーザーも実は少なくありません。トップがリーダーシップを発揮することが非常に重要です」とまとめた。

イベント終了後に集められたアンケートには、来場者の率直な思いが記されていた。「とても充実した内容でした。今、自分が抱えている課題が少し解決しそうです」「超高速開発ツールを使って何か効果が得られれば、社内の意識改革につながるかもしれないと感じました」。

情報システム部門は皆、同じような悩みを抱えている。だが、イベントの講演者らが属する企業のように、その悩みを解決した会社も多くある。新たな一歩を踏み出し、「頼られる情シス」への道を進んでいく——。臆することはない、まずはそこから始めてみてはいかがだろうか。

文責:SCSK FRONTGATE運営事務局

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