AIをリアルなビジネスに適用――お客様と課題を探るところからスタート
これまでSCSKは30年以上にわたって人工知能(AI)の研究に取り組んできました。特に音声認識と言語分析、画像認識・映像解析の分野に強く、これらを活用した関連ソリューションの開発を精力的に進めている。この技術がお客様の業務にどのように結びつくのか? 山野晃氏(執行役員、AI戦略室長)に聞きます。

自然言語処理を応用したコールセンター向けソリューションを開発

−SCSKにおけるAI研究の歴史を教えてください。

SCSKがAIの研究を始めたのは今から約30年前、いわゆる “第2次AIブーム” のころです。当時は「エキスパートシステム」や「第5世代コンピューター」が注目を集めており、企業や大学は匠の知恵をなんとかシステム化しようと躍起になっていました。SCSKではエキスパートシステムと並行して機械翻訳に取り組んでいましたが、それもブームの終焉とともにスローダウンすることになります。

約10年前、SCSKは再びAIと向き合うことになります。自然言語処理と機械学習を応用したコールセンター向けソリューションを開発することになったのですが、当時はまだAIへの不信感が強く、「インテリジェントな応答」などと表現していました。しかし、ここで培われた経験とノウハウは、現在の “第3次AIブーム” でも活かされています。

−コールセンター向けソリューションについて詳しく教えてください。

1つめは、AI対話型Webエージェントの「Desse(デッセ)」です。これはキャラクターとのテキストによるコミュニケーションを通じて、お客様からの問い合わせに対応するチャットボット系のサービスで、実際に企業や団体のサイトで採用されています。「Desse」を活用することで、コールセンターへかかってくる電話の総数を減らすことができるため、お客様が本当に必要とされている場合に電話がつながる確率が上がり、丁寧な対応をとることが可能になります。

2つめが、コールセンターに集まるお客様の声(VOC)を分析するサービス「VOiC(ヴォイック)」です。その中の「VOiC Finder(ボイスファインダー)」というテキスト分析ツールは、会話に出てきた質問や不満を抽出することが可能で、頻出質問の傾向や問題発生時の対応などの分析ができるため、お客様の満足度向上に寄与します。またオペレーターの教育期間の短縮にもつながるとともに、対応品質について自動的に評価することもできます。AIによる評価で公平性が高まるため、「VOiC Finder」の導入はオペレーターの離職率を下げるという意味でも効果があると言われています。

お客様と一緒に課題を探ることからスタート

−AI活用はどのように進めていくべきですか?

現在は “AIブーム” ですので、お客様からの問い合わせも多いですが、漠然と「AIを利用したい」という思いだけではうまくいきません。まず何をしたいのか、どんな課題を解決したいのかをお客様と一緒に探ることから始めるのが大切です。たとえば音声認識の分野なら、DesseやVOiCのようなソリューションは比較的わかりやすいのですが、画像認識や映像解析の分野ですと、どのように役立つのかわからないというお客様も多いので、そこは相談しながら話を詰めていくことになります。

−コンサルティングから始めるということですか。

そうですね。ときにはSCSK関連会社でありAI領域におけるコンサルティングに強みを持つAsian Frontierと一緒に検討することもあります。こうして徐々にSCSKとしての実績を積み重ね、AIに関する取り組みをアピールできればと考えています。 今では多くの企業がAI系のソリューションを提供していますが、システマティックに統合されたサービスまでは多くありません。しかし、これからはさまざまなAIとシステムを組み合わせて提供していく時代になるでしょうから、SIerとして培ったノウハウをもとに、トータルなサービスとして提供していくことを目指していきます。

AIやRPA(ロボットによる業務自動化)活用がもたらす業務変革

−お客様から持ち込まれる相談にはどんなものがありますか?

製造業や金融業からの相談が多いですね。製造業は画像認識との親和性が高く、工場内の検査工程を省力化するなどの目的で検討しているようです。金融業ではDesseやVOiCのような言語認識系の相談が多く寄せられています。

−IoTやRPAといった領域での活用は検討していますか?

IoTはもはやAIと不可分のものといえますので、住友商事グループとの協力も含めて推進していきます。RPAに関しても、住友商事グループで盛んに検討されていますし、弊社の金融チームでもすでに着手しており、BPOビジネスを展開しているSCSKサービスウェアとともにコンタクトセンターの課題解決に向けて取り組みを進めています。またAI戦略室でも、まず前段でお客様の声をDesseのようなAIが受けて、後段でRPAが自動的に処理するようなしくみができないかと検討しています。これが実現すれば、24時間365日の自動処理が実現できるようになり、業務の効率化が一気に進むでしょう。

−あらゆる企業の課題解決につながりますね。

近ごろはAIが人間の仕事を奪うのではないかという声も聞こえてきますが、AIやRPAが単調な作業、手間のかかる作業を肩代わりしてくれれば、本来人間が注力すべき作業にリソースを回すことが可能になります。その結果として残業がなくなり、毎日定時で帰れるようになれば、働き方改革にも貢献できると思います。

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