私がやりたいことは、「夢ある未来を創る」こと
ビジネスとITの関係は大きく変わりつつあり、情報システム部門の位置付けも変化している。そうしたなかで、SCSKはどんな役割を果たすべきなのか? 古宮浩行氏(執行役員、ソリューション事業部門 AMO第一事業本部長)に、SCSKが目指す「あるべき姿」と「お客様との関係」について訊いた。

いまや暮らしのなかは最先端のテクノロジーで溢れ、オフィスより進んでいる

── 企業のIT活用は、現在どのような問題に直面しているとお考えですか?

 私はITの世界で働き始めて30年以上になりますが、変化のスピードは年々速くなり、いまが最も速いと感じています。

 変化が激しくなったのは、インターネットが一般家庭へ普及し始めた頃からでしょう。この頃から、コンシューマ向け製品のテクノロジーが急速に進歩し、企業向け製品のそれを上回り始めました。いまや暮らしのなかは最先端のテクノロジーで溢れ、ある意味ではオフィスより進んでいると言えます。つまり「会社にいるより家庭にいるほうが先端技術に触れている」という、少し前までは信じられないような状況です。こうした状況は、今後ますます顕著になるはずです。

 このような現代の状況において、最先端のITを積極的に活用できていないことが企業にとって大きな課題です。例えば企業によっては、ソーシャルメディアによる風評被害を懸念して、社員のSNSの利用を制限したり、事前に届け出たりすることを義務づけています。もちろんITガバナンスやITコンプライアンスの観点から使いたくても使えないという事情があるのでしょうが、学生時代からSNSに親しんできた新入社員は、入社後に社内のIT事情を知ってずいぶん驚くようです。

 各企業は時代の流れに逆らうことなく、リスクと向き合う姿勢が求められています。リスクの存在に背を向け、「ぬるま湯に浸かって変化しない」ことが最大のリスクなんです。

── その一方で、情報システム部門はどのような課題を抱えているのでしょうか?

 ITの進展とともに多くの企業で情報システム部が設置されるようになりましたが、彼らは製造部門や営業部門のように「ITを導入して、自社のビジネスを効率化する」ことにさほど熱心ではありません。これには仕方のない事情があって、社内におけるITの使い方についてルールを策定して守らせるなど、情報セキュリティの主管部門としての役割が大きくなってしまい、部内のリソースをそのために割かざるを得ないのです。その結果、「自社のビジネスの成長に貢献する」という本来の役割に注力できていない状況です。

ビジネスの激しい渦の中では、「AMO」が課題解決のキーワードになる

── このような課題を抱える企業や情報システム部門に向けて、SCSKはどのような提案を行っていくのでしょうか?

 SCSKの使命は、ITを通じて「お客様の未来を共に創る」ことだと考えています。さすがにお客様に宛てた提案書に「あなたの未来を提案しますよ」とは書けませんが、お客様の要望に応えているだけでは、我々は単なる「御用聞き」です。やりたいのは「夢ある未来を創る」ことなんですよ。

 お客様の日々の業務において「こんなビジネスができないか」という発想が生まれたときに、すかさず感じ取って「このように実現していきませんか」と提案する。それを新しいビジネスモデルとして育ててもらって、ゆくゆくはお客様の事業を支える柱にしてもらうことが理想ですね。

 これは難しいことですが、我々からの一方的な提案だけではなく、お客様と一緒に歩んでいくのであれば実現できます。そのために、我々は「御用聞き」ではなく、同じ理想を目指して共に成長していく、お客様の「パートナー」にならなければいけません。お客様と我々との間でそういった関係を築くことが、「お客様の未来を共に創る」ことにつながると考えています。

── そのためにとられている具体的なアプローチ方法を教えてください。

 まずは、「マーケットインとプロダクトアウトの“いい所取り”」のソリューションを追求すること。我々が提言しなければならないのは、お客様の「やるべきこと」です。すでに顕在化しているニーズに応えるマーケットインの提案に終始してしまっては、我々の役割は御用聞きに留まり、お客様と共に歩んでいくパートナーにはなれないでしょう。一方でプロダクトアウトに注力すると、自社の商品を押し売りするだけになってしまいます。両者ともに良いところと悪いところがあって、その良いところだけを提供するのが我々の役割です。

 そして、システムの保守・運用の場面になっても、引き続きお客様のビジネスを支援していくこと。ビジネス環境の変化はますます激しくなり、それを支えるシステムにもスピーディーな対応が求められています。そんな現在だからこそ、「AMO*」は、企業や情報システム部門の悩みを解決する重要なキーワードとなることでしょう。

 SCSKのソリューション事業では、開発・導入から保守・運用までのシステムライフサイクル全般のサポートを「AMOサービス」として展開しています。ただ正直に言って、AMOという言葉はまだ十分に定着していません。それでも、「AMO事業を通じてお客様のビジネスの成功を支援する」という我々のビジョンを明確に示すため、事業部名にあえて「AMO」と掲げています。

* Application Management Outsourcingの略。SCSKは、各パッケージ製品のスペシャリスト集団を一か所に集めて、質の高い保守サービス体制を構築。オンサイトとリモートの2種類の形態、様々なメニューと料金体系でAMOサービスを提供している。

情報システム部門本来の役割に立ち返り、“TO DO”ではなく“TO BE”を目指す

──SCSKはこれから先、どのようなことをやっていかなければならないのでしょうか?

 なによりもまず、情報システム部門本来の役割に立ち返るためのアプローチが必要になるでしょう。例えば、多くのお客様は、人がAI(人工知能)に置き換えられ、仕事が減っていくことを懸念されています。しかし、いくら便利になってもAIはまだまだ限定的なことしかできない。だからこそ、「AIが得意なことをAIに任せ、より生産性の高い仕事に人をシフトさせていく」という提案ができるようにならなければいけません。

 言い方を変えれば、「与えられた課題を受けて提案を行う」という“TO DO”だけではなく、「これからどうあるべきか」という“TO BE”を常に考えていくことが大切です。そのためには、常にお客様に寄り添い、お客様自身が気づいていない潜在的な課題を掘り起こすような、的確な解決策を提案していくことが必要になります。

 AMOサービスは、お客様のパートナーとして“TO BE”を共に考え、それぞれの悩みにふさわしい提案をするために、SCSKだからこそ提供できる手段のひとつ。お客様に寄り添って密な関係を築き、その業務やシステムを熟知している我々だからこそ、提言できる「あるべき姿」があります。情報システム部門が部門本来の役割に専念できるようになり、そこから新たなビジネスチャンスを創っていくためのパートナーとなるのが、我々に課せられたミッションです。

 今後もSCSKならではのソリューションやサービスを意欲的に開発し、それを常に進化させつつ、提供していくことで、お客様に新しい価値をもたらしていきます。それが、お客様の未来につながっていくと信じています。