隠れた「真のニーズ」を探り、お客様と共に課題解決に挑む

SCSKは、ITの導入から、その後の保守・運用までの一連のサポートを「AMOサービス」として提供している。SAPシステム、Oracle、Salesforceなどの各パッケージ製品のスペシャリストを集めることで、質の高い保守サービス体制を構築した。オンサイトとリモートを併用、専門チームで運用体制を組みお客様からのご相談に対応するサービスだが、その特長はどのような場面で活かされているのだろうか。お客様からの信頼が厚いプロジェクトマネージャーである、ソリューション事業部門の岡島、島田、伊藤の3名に、AMOサービスへの想いを聞いた。

お客様の業務を熟知し、根本的な課題を提示。解決へと導いていく

——まずは、みなさんがどんな業務を担当しているのか、教えてください。お客様からは、どんな要望を受け取ることが多いのでしょうか?

岡島 プロジェクトマネージャーとしてSAPシステムの保守管理をしています。お客様の業界はメーカーや商社、流通・小売など多種多様ですね。例えばネット通販に力を入れているお客様だったら、販売チャネルの追加や様々なキャンペーン施策への対応を迅速、かつ柔軟に対応できるシステム構成を検討してほしいというようなご要望を受けることもあります。早ければ2ヶ月で稼働までもっていきたいという非常にスピーディーなご要望もいただきます。

伊藤 それは大変ですね…! 短期間で稼働させるときならではの、お客様の要望をヒアリングする際に気を付けていることはありますか?

左から、岡島、島田、伊藤

岡島 現場の声を素早く拾い上げることがとにかく重要なので、お客様と直接お会いする機会をできるだけ増やしています。すると、雑談の最中にお客様の悩みや、これからやりたいことについての話がポロっと出てくるので、それを聞き逃さないこと。これは顔を合わせないリモートのみの対応ではなかなか難しいですね。他には、営業などのユーザー部門から直接聞くこともあります。その要望を解釈して情報システム部門に伝え、お客様の社内の橋渡し役になることも少なくありません。

島田 確かに、ご要望をできるだけ正確に受け取るため、お客様とお会いし、会話をすることは重要ですよね。私は、長年大手食品メーカー様向けのSAPシステムの導入から保守・運用をマネジメントしながら、情報システム部門に常駐し、利用者である従業員の皆さんのシステムサポートを行っていました。サポートを行うときに、目の前にいるご担当者様の要望を聞いただけでは、その先にいる実際にシステムを使う人々の課題を汲み取れず、本質的な解決策を提示できない場合があります。そこで、お客様の業務や体制を熟知して、提案を行うことの重要さを痛感しましたね。

伊藤 なるほど! 実際に顔を合わせたコミュニケーションはもちろん、じかに接するお客様の先にいる利用者の本音をキャッチすることの重要さを、改めて考えさせられますね。

——伊藤さんは現在、どんな業務を担当しているのでしょうか?

伊藤 人材サービスを提供する会社様のコンタクトセンター向けサービスの保守・運用を行っています。そのお客様は、新しいサービスを始めるのと一緒にコンタクトセンターを立ち上げているのですが、繁忙期と閑散期で問い合わせ件数などに大きな開きがあって、どうしたらムダのない運用ができるか、とても苦慮されていました。SCSKのAMOサービスは、繁忙期は常駐、そうでないときはリモート、といったようにお客様の状況に合わせたサポート体制を柔軟に変更できるので、品質を維持しながらコストの最適化も図れる*、ということにメリットを感じていただいています。

岡島 伊藤さんのお客様だと、システムオーナーは情報システム部門ではなく、コンタクトセンターなのかな。

伊藤 そうなんです。ユーザー部門が主導でシステムを導入するケースが増えていますね。システムを担当するのがITに関する知識のない方、ということも多々あります。ですので、お客様の見落としがちなところをフォローできる、私たちのような役割が欠かせないと思っています。

* SCSKのAMOサービスは従量課金制でサポートを提供するため、お客様の業務の繁忙に合わせてコストの最適化が図れる。

サービスへの姿勢はチームで共有され、皆の指針となっていく

——では皆さんが、お客様とやりとりをするとき、一番心がけていることを教えてください

岡島 お客様からの問い合わせには、意外と表面的な内容が多いと思います。例えば「これができないんだけど?」というような漠然とした質問も少なくありません。そんなとき、「もう一歩、お客様の言葉を掘り下げてみよう」とメンバーにはいつも言っています。言葉通りに受け取るのではなく、「なぜそれをやりたいのか」「どのようにやろうと思ったのか」など、その相談の裏にある理由をしっかり聞くようにしないと、お客様が本当に求めている最適な回答を行うことができませんから。

島田 それは大事ですよね。私も同じ話を、新人時代に上司から教わりました。そのときは、「真のニーズを聞け!」という言い方でした。

岡島 そう。それは私もよく言っています(笑)。お客様からの要望を持ち帰ってきたチームのメンバーに、「そのお願いが真のニーズだと思う?」というように、ときにはメンバーに対して、お客様が要求している根っこの部分を考えさせるような質問を投げかけたりします。

伊藤 メンバーにとっても、いい勉強になるのかもしれないですね。

島田 私たちは、それぞれの現場で特定のパッケージを導入・保守運用しています。しかしお客様は、パッケージで解決できる課題に関わらず、ITに関わるあらゆる悩みを抱えていらっしゃいます。それを解決したいとご相談いただいたとき、無理をして現在使っているパッケージにこだわった解決策をご提案するのではなく、総合サービスパートナーとして最適なソリューションを提案できるようにならないと、私たちがサービスを提供している意味がないと思っています。

伊藤 私はお二人と似ているんですが、言葉が違っていて。「お客様が本当にやりたいことってなんだろう?」とよく言っています。また先輩からは、お客様からの要望には「簡単にできないと言うな」と教わりました。難易度の高いものや予算的に難しいものなど、さまざまな要望がありますが、すぐに諦めるのではなく、まずは「どうしたら実現できるのか」というところから考えてみる。その姿勢が、私たちには必要なんだと思います。

島田 私がもう一つ、上司から教わって大事にしている「しみじみ感」という言葉があって。お客様から相談を受けたら、その内容を鵜呑みにするのではなく、お客様の立場になって、徹底的に考え抜く。それができれば、立場や役割、企業の風土をふまえたうえでお客様の悩みが「しみじみ」理解できるようになってくる。

岡島 「しみじみ感」。いい言葉だね。

島田 そこまでできて初めて、お客様のまだ言語化できていないご要望を引き出せるようになるんですよ。今では、自分が上司から教わったように、これをことあるごとにメンバーに伝え、目指すべきサービスのイメージをみんなで共有するようにしています。

岡島 私たちは十数人でチームを組み、そこで複数社に対してAMOサービスに当っています。サービスへの姿勢がチーム内の新たな世代にも受け継がれて、それぞれのチームを超えて皆で共有しているAMOサービスへの姿勢になっていくのだと思っています。

チームや部署の垣根を超えて知見を共有、お客様の多様な要望に対応

——サービスに対する考え方や意識を周囲の人と共有するとのことでしたが、チームでAMOサービスを提供することには、他にどんな強みがあると思いますか?

岡島 さまざまなサービスの専門家がチーム内に在籍しているので、自分では対応しきれない問い合わせがきたとき、近くにいる人間にすぐ相談して、迅速に問題を解決できます。現在は、1つのチームで7社の保守・運用を手がけているので、7社分の課題や要望と、対応のノウハウがチームに蓄積されています。

伊藤 私のチームでは、お客様との相性や業務内容によって、役割を分担しています。例えば、あるシステムに関する相談は、そのシステムに精通しているスタッフが優先的に担当すると効率がいいですし、お客様とこちら側のスタッフの相性だって重要です。あるお客様の担当を一人に固定してしまうと、その担当者とお客様が噛み合わなかった場合、相談したいのにコミュニケーションがいつもうまくいかない、といったことになりかねませんので。

島田 SCSKは1万人以上の従業員を擁するITサービスカンパニーです。あらゆるIT領域で、お客様の多様な課題をつかみ、それに対処したさまざまな事例の蓄積とノウハウがあります。思わぬ相談をうけたときは、部署の垣根を越えて、社内の有識者に知恵を借りにいくことができます。これも、ひとつのチーム力だと思います。

企業の成長には情シスが必要不可欠。お客様の将来を見据えて共に成長する

——では最後に、これからみなさんがサービスを通して実現していきたい、自分の目標を教えてください。

伊藤 「真のニーズ」よりももっと先にある、お客様の将来的なニーズに応えていくこと。それを目指していきたいです。お客様の目の前にあるニーズに応えているだけでは、満足していただけるサービスを提供できない。そのためには、お客様が企業全体で目指していることを理解し、将来を見据えた上でシステムを提案していくことが重要だと思っています。その際に、私たちの蓄積が別のお客様の新しいビジネスチャンスにつながっていくのが一番ですね。

島田 やはり、企業が成長していくためには情報システム部門の働きが必要不可欠。しかし、その重要性が他の従業員に理解されていないように思われます。情報システム部門は本来、社内のあらゆる部門の業務が円滑にまわるように下支えをしている、なくてはならない役割のはずなのですが。

岡島 確かに、情報システム部門の重要性を理解できていない企業は多いかもしれないです。それは日常の煩雑な業務に追われ、企業の情報戦略を立案・実行していく、という本来の役割になかなか手をつけられていないことが、一つの理由として考えられるかもしれません。

島田 そうですね。これまでも企業の情報システム部門に常駐し、お客様に深く関わってきました。今後も情報システム部門のパートナーと呼ばれるように、今まで以上に貢献していきたい。そのためにはお客様の一歩先を見据えて、中長期的な提案をしていくことが必要だと思っています。

岡島 情報システム部門は、現状のシステム保守・運用をアウトソースすることで、「自社の将来を考える」ことにもっと注力できると考えています。その企業にとって最もふさわしいシステムと保守を模索しながら、私たちもお客様と共に考え、成長していきたいですね。そういった、「お客様と一緒に良いものを作っていこう」という姿勢が、2人のいう「真のニーズ」や「できないと言うな」というサービスの姿勢へつながっていっているのだと思います。