異業種への参入、成功のカギは情報活用
―ホームセンターの事例から探る―
―ホームセンターの事例から探る―
住宅リフォーム業界に新規参入する事業者が増えている。特に参入著しいのは、住宅リフォーム商材を扱うホームセンターだ。案件データの活用で、住宅リフォーム事業の業務プロセスを改善したホームセンターの事例から、異業種参入の成功モデルを探っていく。

新規参入する事業者を待ち受ける課題とは

住宅リフォームの市場規模は、日本で年間6兆円程度。その規模の大きさから、住宅リフォームの市場に新規参入する事業者が増えている。

いち早く新規参入したのは、住宅や建材・部材などのメーカー。その後、ガス会社や不動産会社などが参入し、昨今は、家電量販店やホームセンターといった大手の小売事業者の参入が増えてきた。

ホームセンターは、気軽に入店できることが強みだ。しかも、DIYのリフォーム商材を扱っている。店内にリフォームコーナーを設置することで、リフォームの潜在顧客との接点が作りやすい。

とはいえ、ホームセンターと住宅リフォーム事業者では、事業モデルが大きく異なる。売上予測や利益管理、顧客対応など、事業上の課題が発生することも多い。

では、こうした問題をどのように乗り越えればいいだろう。ある「ホームセンターチェーンA社」の事例から、住宅リフォーム事業に新規参入するにあたって直面する問題とその解決策を見ていこう。

売上予測、見積もり、顧客対応など、直面する問題

全国に店舗展開している大手ホームセンターのA社は、各店舗の売上を伸ばすため、住宅リフォーム事業に新規参入した。しかし、事業モデルの違いなどから、様々な問題を抱えるようになった。

そもそも住宅リフォームでは、小売とは異なる業務が求められる。営業提案や見積もりから、案件や業者の管理、受注後の施工管理やアフターフォローなど多岐にわたる。当初、住宅リフォーム工事の進め方や情報一元化、ルール統一が課題であったA社にとって、こうした業務を円滑に進めることは大きな負担だった。しかも事業である以上、売上を伸ばし利益を確保しなくてはならない。

営業面での課題は、売上予測を立てにくいことだった。案件数が多い住宅リフォーム事業では、個々の営業部員が抱える案件は見えにくい。また、案件によって、成約までの期間や売上規模は大きく変わる。こうしたデータを正しく把握できなければ計画との乖離が発生する。

また、営業担当レベルで見積もり精度に差があることも課題だった。同じ工事がふたつとない住宅リフォームの特性上、見積もり精度の向上には時間がかかるからだ。そのため、同じチェーンの別店舗で見積もりを依頼すると、見積もり金額が違うという事態が起こる懸念があった。

顧客データを全店舗で共有する仕組みがなかったため、チェーンの別店舗に来店履歴のある顧客をはじめてのお客様として扱ってしまうことがあっては「このチェーンに頼んだ意味がない」と思われてしまう。

さらに大きな問題が、赤字工事の発生だ。住宅リフォームでは、予期せぬトラブルによって工事内容が変わることも珍しくない。

例えば、着工後に建物の下地材が傷んでいることがわかったとする。その場合、下地材の修復工事が必要になるが、担当者が正確に見積もることなく追加工事を発注すると、いつの間にか赤字案件になってしまう。

これらの問題の解決には、住宅リフォームの全案件データを管理・共有し、それを営業管理と施工管理の両面で活用する必要がある。しかし、手作業ですべてのデータを適切に管理するのは難しい。そのため、同社は、住宅リフォーム事業者に特化したパッケージシステムを導入することを決断した。

左から、SCSK 製造・通信システム事業部門 製造システム事業本部 製造システム第二部 第二課 永井 智一、柿本 裕司

売上予測だけでなく、見込み客の発見にも活用

A社が導入したのは、SCSKの「PImacsReFORM」(ピーアイマックスリフォーム)だ。導入の決め手は、引き合いから受注までの案件の進捗状況と、設計から施工、引き渡しまでの施工状況を、ひとつの継続するプロジェクトとして管理できることだった。つまり、案件の進捗管理が売上を予測し、施工状況の管理が利益を確保することを狙ったのだ。

実際に導入してみると、その効果はまず営業面に現れた。計画通りに売上が着地するケースが増えたのだ。営業部員ごとに、相談を受けた案件や見積もりを出した案件の数を管理者が把握できるので、直近の予測だけでなく、半年先の売上計画も立てやすくなったからだ。

「新築や中古の住宅事業と比べて工期が短く、案件数が多いリフォーム事業で重要なのは、将来の売上につながるデータを管理することです。誰が、どんな案件を、どれくらい持っているかがわかれば、先の売上を予測できます」(SCSK 製造・通信システム事業部門 製造システム事業本部 製造システム第二部 第二課 柿本 裕司)

引き合い件数、見積もり件数、契約件数といったデータは、営業部員が各自、PImacsReFORMのダッシュボード機能で確認できる。さらに、来店、電話、WEBなどの引き合い経路を分析し、地域ごとの見込み客の特性に応じた広告戦略も立てている。

潜在需要の取り込みでは、既存顧客の条件検索機能を活用している。例えば、外壁工事を受注した既存顧客のうち、90ヶ月以上経過している住宅を絞り込む。あるいは、洗面所のリフォームを受注済みで、浴室のリフォームをしていない既存顧客を探す。

外壁は一般に、経年劣化が早く、水回りの設備は同じようなペースで劣化する。このようなリフォーム工事の特性から見込み客を洗い出し、次のリフォーム需要を掴んでいるのだ。

「導入いただいている企業様では、この顧客絞り込み機能の評価が高く、いち早くリフォーム需要を取り込むことができたという声をよくいただきます」(SCSK 製造・通信システム事業部門 製造システム事業本部 製造システム第二部 第二課 永井 智一)

顧客対応品質の改善でも導入効果は出ている。営業管理者は、現地調査を行ってから何日以内に見積もりを出すかのルールを設定できる。予定日を過ぎると、担当スタッフのログイン画面にアラートが出るので、営業部員は約束の期日に遅れることなく顧客に対応するようになった。

特殊検索は、条件を設定し、リフォーム需要の高い顧客を絞り込むことができる。

施工管理の徹底で、赤字工事の防止や見積もり精度も大きく改善

住宅リフォーム事業では小売業と違う利益管理が求められる。そのためA社では、PImacsReFORMの承認機能によって利益管理を徹底している。上長や責任者の承認なしに追加工事を発注できないように設定することで、担当者が費用を意識し、計画外の費用発生の抑制につなげているのである。

また、見積もり精度が低いために、計画通りの利益が得られない案件も大幅に減少した。見積もりの問題点の共有やベテランの作成した同様の見積もりを参照することで、赤字になるリスクを抑えたからだ。

「このチェーンに限らず、導入企業様からは、利益が計画通りに着地したベテランの見積もりをベストプラクティスとして社内で共有したことで、正確な見積もりを短時間で作れるようになったという声をいただいています」(永井)

案件データをただ管理するだけでなく、データの中にある業務ナレッジを活用することで、新規参入事業者が住宅リフォーム事業で成功する可能性は高まる。チェーン展開するホームセンターのように、多くのデータが集まる事業者であれば、こうしたデータは売上分析などにも活用できるだろう。

顧客データを全店舗で共有して初めて、チェーン展開している強みが活かせる。その店舗に訪れるのが初めてでも、共有されている顧客データを見て「前回は浴室の工事をご依頼いただいていますね」とリピーターとして応対できる。これが安心感を生み、「このチェーンに頼んでよかった」という満足感に結び付く。

「新規参入事業者が住宅リフォーム事業を確立させるには、営業管理と施工管理の両面でリフォーム専門業者に負けないクオリティが必要になります。その肝となるのが、案件データの管理と活用です。その点で、PImacsReFORMが貢献できる余地は大きいと思っています」(永井)

新規参入事業者が、営業や施工の管理という住宅リフォーム業特有の業務を身に付けるには、業界に特化した業務フローに合わせるアプローチが有効だ。それはまた、業務の適正化・効率化にもつながる。これから参入しようと計画している、あるいは参入後の課題を抱えているのであれば、リフォームの業務フローに特化したパッケージシステムを選択してみてはどうだろうか。

住宅業種に特化したパッケージシステム「PImacsReFORM」のサービス詳細はこちら